生命

2016年10月06日

ニューラルネットワークは、与えられた入力に対して正しい出力をするように内部の状態を少しずつ変えていく。これを「学習」と呼ぶ。
これは人間が人生の中での様々な学びをもって知恵を身につけていくことに似ている。

これに対し遺伝的アルゴリズムとは、複数の個体の中から優性なものだけを掛けあわせる、ということを繰り返すことにより、より優性な個体をつくりだすというものである。ここでの「優性」とは、ニューラルネットにおける「正しい入力と出力の組み合わせ」と同様、何らかの正解があり、その正解にいかに近いか、ということである。

かつて、このニューラルネットの学習を最適化する方法として、そのネットワーク構造を遺伝的アルゴリズムを使う、というものがあった。
これによりニューラルネットは、自らの代で学習を行い、さらにその構造が最適な個体だけが残っていく、という二重の最適化により、より効率的に学習を行うことができる、というものであった。

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2016年09月26日

自己複製をするだけの機能を持ち、人間の役には立たないロボットの例では、その繁殖の仕方が無性生殖であった。
つまり、クローンによって自分自身の複製を作り続けるロボットが、文字通り指数関数的に繁殖することになる。
そこでは最初に用意された一代目のロボットの種類の数がそのまま変わらず、全体数だけが増えていく。
最初に一種類しか用意しなかった場合は、一種類だけの同じ形をした同じ動きをするロボットが無数に増えていく。

ただし、その自己複製に何らかのエラーが混じらないというわけではない。
その自己複製の過程で何らかのエラーが起こった場合、それは「突然変異」として、そのまま次の世代に受け継がれていく。そのエラーの回数だけ、微妙に異なる「亜種」に枝分かれすることになる。
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2016年09月16日

かつて現代音楽の潮流に「偶然性音楽」というものがあった。
それまでの音楽にあった「楽譜」という予定調和を超えて、作品を偶然性に任せること。
そのために、サイコロを用いたり、チェスの盤面にセンサーを仕掛けて、駒が置かれたらある音が出るような盤で実際にチェスをしたり、あるいは水槽にセンサーを仕掛けてその中で魚を泳がせる、といったものだ。

そして偶然性音楽は、アートにも拡がった。
「アクションペインティング」というものだ。

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2016年09月15日

チンパンジーにタイプライターを与える。
チンパンジーは嬉しそうにキーを叩き始める。

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チンパンジーがタイプライターを叩き続けるうちに、偶然に意味のある単語が含まれることがある。
タイプライターのキーの数はおよそ100だと言われているので、このチンパンジーが"chimpanzee"とタイプする確率は、 100の10乗分の1だ。100,000,000,000,000,000,000、つまり京のもう一つ上の垓という呼び方を使って、「1該分の1」ということになる。
ちなみに"monkey"であれば、100の6乗分の1なので、「1兆分の1」ということになる。

そして、このチンパンジーが充分長い時間タイプをし続ければ、やがてシェイクスピアの戯曲を"偶然に"書くことが起こりうる。これは、科学でよく使われる「充分に長い時間」というのがミソで、本当に充分に長い時間(宇宙が生まれてから今までの時間ぐらいの)タイプし続ければ、シェイクスピアの戯曲が現れることが「確実である」とされている。

これを「無限の猿定理」という。
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2016年09月13日

多重ガラパゴスの中に散財する無数の小ガラパゴス
最終的には個体にたどりつくかもしれないその一歩手前あたりには、個体で形成されたコロニー、あるいはフローラとでも呼ぶべき個体の集団がある。人間社会で言えば、都市の中の一画にある「◯◯人地区」と言ったところか。

熱力学の基本にある、エントロピー増大の法則に沿って言えば、本来、生態系、あるいは人間社会は、個性を持たない個体が画一的に散在するようなところに向かっているはずである。
地球上のどの一点をとっても同じ風景が広がる。
だが、実際はそうなっていないところが生命のおもしろいところである。
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